微細加工ナノプラットフォームコンソーシアムとは
本プラットフォームを利用することで、装置を保有しない企業や大学の研究者・技術者でも、ナノ・マイクロ加工を行い材料やデバイスの試作ができます。全国に展開する16の大学および研究機関(“実施機関”と呼びます)が保有する装置とその利用技術で支援依頼者の研究開発を支援します。プラットフォームを利用する文化を全国的に創成することで、異分野融合によるイノベーションの創出や、大学から企業への技術移転がより一層促進されることが期待できます。
下図のように、ナノ・マイクロ加工を得意とする16の実施機関が全国に展開しています。複数の実施機関を相補的に連携させて支援することも可能です。コーディネータが支援依頼者に最適な実施機関を紹介します。
設立の背景
日本の持続的発展に重要な、低炭素・バイオ・ICT・安全安心・健康等様々な領域において、材料創成からデバイス設計、そしてデバイスの試作実験による有効性実証まで様々な研究開発が盛んに行われています。そしてその結果を社会構造改革へつなげていくための開発競争は、世界において激化しています。この研究開発から社会実装までのスピードを高めることが、日本の産業・経済の競争力の維持・発展に必要不可欠です。一方、ナノ・マイクロ領域における材料創成やデバイス試作には専用の高度な装置が必要ですが、これらは高価であると共に、利用に際して熟練した技術と豊富な経験が必要です。これまでは特定分野の研究者のみがこれらの装置を必要としていましたが、今日ではより広く、生命・医療・創薬・農学・情報、さらには経済・環境・公衆衛生等の応用分野においても、ナノ・マイクロ領域における材料創成やデバイス試作への需要が高まっています。しかしそれら分野における研究者や技術者は決してナノ・マイクロ加工技術に精通しているわけではありません。
前述したように、装置が高価であること、利用に際しては専門的な知識と経験が必要なこと、さらには広く学際的な分野においてナノ・マイクロ領域の技術へのニーズが増加する、という課題に対しては、既存の装置を共用して皆で有効利用できる環境、すなわちプラットフォームを設立することが1つの解と考えられます。
本プラットフォームを利用することで、装置を保有しない企業や大学の研究者・技術者でも、ナノ・マイクロ加工を行い材料やデバイスの試作ができます。ナノ・マイクロ加工の経験がなくても学びながら利用することができます。また、プラットフォームを利用することで研究者や技術者は装置の保守管理業務から解放され、自らの研究開発に専念することが可能になります。その結果、研究開発レベルの向上、試作期間の短縮化、さらには他研究者・異分野研究者との異分野融合によるイノベーション創出を図ることができます。
本プラットフォームは利用者への支援を通して、ナノ・マイクロ加工に関する研究者および技術者の育成を、大学・大学院のみならず社会人に対しても行います。さらにこれを高校生や高校教員などに対して行うことで理科離れの防止や将来の研究者・技術者の育成を行います。