ナノフォトニクス&EB実践セミナー(2014/6/6)

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最新鋭のEB(電子ビーム)露光装置が文部科学省委託事業である“ナノテクノロジープラットフォーム”に参画する6つの支援機関に導入され、4月から本格運用が始まりました。この機会を多くの皆様に知っていただきたく、この度、ナノフォトニクス&EB実践セミナーを開催いたします。
このセミナーでは、EB露光装置各社の最新EB露光装置の性能を紹介するとともに、近年、益々研究が活発なナノフォトニクスの技術動向と最新の研究成果を紹介します。特に、描画パターン精度と光学特性の関係に着目して講演していただきますので、最新の露光装置を使うことでどのように光学特性の改善が期待できるかご理解いただけると思います。また、セミナー後半では、各支援機関からナノフォトニクス関連の事例紹介を行います。微細加工プラットフォームが保有する加工装置を使って、どのようなナノフォトニクス応用の研究・開発のサポートが可能かをご理解いただけると思います。
また、このセミナーへの参加をより充実した機会にするために、下記の無料実習コース(アドバンストコースは有料)を併設しています。産学官より多くの皆様のご参加をお待ちしています。

概要

開催日時 講義:2014年 6月 6日(金)9:55~17:30
実習:2014年 6月~9月頃
主催 文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム
微細加工プラットフォーム
場所 講義:東京工業大学(大岡山キャンパス) 大岡山西8号館E 情報理工学研究科大会議室(10階)
実習:北海道大学、物質・材料研究機構、筑波大学、産業技術総合研究所、東京大学、東京工業大学、京都大学、広島大学
詳細 a) 講義 東京工業大学(大岡山キャンパス)(定員120名)
 【電子ビーム露光技術】
 座長:有本 宏 氏(微細加工コーディネータ)
 9:55-10:00 はじめに 有本 宏(微細加工コーディネータ)
 10:00-10:30 『高精度電子ビーム描画装置 ELS-Fシリーズについて』 新関 嵩(株式会社エリオニクス)
 11:30-11:00 『フォトニスパターンへのCP露光の適用』 五十部秀明(株式会社アドバンテスト)
 11:00-11:30 『高精度電子線描画装置』 會田征徳 氏(株式会社日本電子)
 11:30-12:00 『電子ビーム描画データ処理における近接効果補正と最適化処理技術』 竹村 等 氏(GenISys株式会社)

<12:00-13:00 昼休み>

 【ナノフォトニクス】
 座長:宮崎英樹 氏(物質・材料研究機構)
 13:00-13:05 はじめに 宮崎英樹(物質・材料研究機構)
 13:05-13:40 『局在プラズモンを用いた人工光合成の開発』 三澤弘明(北海道大学)
 13:40-14:15 『ナノホールアレイの車載光デバイス応用』 藤川久喜(豊田中研)
 14:15-14:50 『低損失シリコンフォトニクス素子実現のための微細加工技術』 西山伸彦(東京工業大学)
 14:50-15:25 『有機/シリコン融合集積フォトニクスによる電気光学デバイスの開発』 井上振一郎(情報通信機構)

<15:25-15:35 休憩>

 座長:島本直伸 氏(微細加工コーディネータ)
 15:35-15:50 『シリコンフォトニクスチップ実装のためのポリマー光回路』 森 雅彦(PETRA)
 15:50-16:05 『微細構造シリコンにおける増強ラマン散乱効果』 佐藤 旦(広島大学)
 16:05-16:20 『高速・大面積描画への取り組み -新型EBのテスト描画を含めて-』 松尾保孝(北海道大学)
 16:20-16:35 『周期構造を作ることと周期を乱すこと』 池田直樹(物質・材料研究機構)
 16:35-16:50 『フォトニクスの為のEBL -繋ぎと合わせ-』 宮本恭幸(東京工業大学)
 16:50-17:05 『東大拠点でのF7000S-VD02試行利用結果速報』 三田吉郎(東京大学)
 17:05-17:20 『EB描画装置を用いたナノフォトニックデバイス作製支援』 井上良幸(京都大学)
 17:20-17:30 『微細加工プラットフォームの紹介』 落合幸徳(微細加工 コーディネータ)

b) EB露光無料実習

  • 北海道大学
  •  エリオニクス(ELS-F125) 3日間(7~9月) 定員2人

  • 物質・材料研究機構
  •  エリオニクス(ELS-F125) 2日間(6月中) 定員2人

  • 筑波大学
  •  エリオニクスELS-7500EX 1日間(6月中) 定員2人

  • 産業技術総合研究所
     クレステック(CABL-9410TFNA) 2日間(6~7月) 定員2人

  • 東京大学
  •  アドバンテスト(F7000S-VD02) 2日間(7月第1週) 定員3人

  • 東京工業大学
  •  日本電子(JBX-6300) 1日間(6月11日) 定員3人

  • 京都大学
  •  エリオニクス(F7000S-KYT01) 2日間(7~8月) 定員2人

  • 広島大学
  •  エリオニクス(ELS-G100) 2日間(6月中) 定員3人

c) アドバンストコース

  • 広島大学
  •  エリオニクス(ELS-G100) 3日間 定員3人 約30,000円
     SOIウェハを用いて10 nmの微細レジストラインパターンを描いた後、
     Siをエッチングして、微細Siアイランドの直列接続構造を形成し、室温クーロ ン振動を観測する。

  • 筑波大学
  •  エリオニクス(ELS-7500EX) 3日間 定員2人 約30,000円
     電子線露光の目合わせ技術を習得し、グラフェンFETの動作確認までを実習する。
     基板上へのマークパターンの形成、グラフェン剥離、座標の同定から、目的位置での電極の形成、
     Ti/Au膜の形成、リフトオフを用いて剥離グラフェンへの電極形成を行い、
     プローバー、半導体特性評価装置を用いてグラフェンFET特性の評価を行う。

プログラムはこちらからダウンロードもできます。

参加費 無料(アドバンストコース除く)。但し、参加者の講義および実習開催場所までの交通費と宿泊代は参加者負担。
応募資格 ・学部卒業以上または、それと同等以上の経験を有する産官学の研究・開発従事者。
(大学院生は指導教官の許可を得ることが条件)
・超微細加工に関する経験不問。
・実習期間中、各実習開催機関の安全ガイドラインと専任スタッフの指示を守れる事。
応募期間 平成26年4月7日(月)12:00~5月30日(金)17:00 原則として先着順。
(ただし、実習に関しては同一機関からの参加者が複数とならないように配慮します。)
その他 実習については、いずれか1科目(1つの日程)のみ参加可能(複数参加は不可)。
参考URL https://nanoworld.jp/npf/training/h26-1/
連絡先 (独)産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門 ナノプロセシング施設
TEL:029-861-3210 FAX:029-861-3211
Email:npf-info-ml(at)aist.go.jp
(at)をアットマークに変更してください


開催報告

 ナノフォトニクス&EB(電子ビーム)実践セミナーを北海道大学、筑波大学、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、東京大学、東京工業大学、京都大学、広島大学の8実施機関の共催で6月6日(金)に東京工業大学(大岡山キャンパス)情報理工学研究科大会議室で開催しました。あいにくの雨天にもかかわらず参加者数は 96名に達し、非常に盛況でした。
 午前中は、EB露光装置メーカ各社とデータ処理ツールメーカ(㈱GenISys)から、それぞれの装置の特長を紹介する講演が行われました。㈱エリオニクスはスループットと解像性の両立を達成し、ピクセルサイズを小さくしても描画スピードが落ちない特長を説明しました。㈱アドバンテストは独自のCP(Character Projection)露光法で曲線パターンや斜めパターンを一括露光する手法について説明しました。㈱日本電子はマスク製造用露光機で培った重ね合わせ、フィールド繋ぎ精度について詳細な説明を行いました。㈱GenISysは露光データ処理について、エッジデータの処理や近接露光補正を始め様々なデータ処理適用例を紹介しました。
 午後の前半は、ナノフォトニクス各分野の専門の先生による研究紹介がありました。はじめに、北海道大学の三澤先生から、電子ビーム露光で作製した微細Auナノ構造の局在プラズモンによる水の光酸化現象の検証と人工光合成(水の光分解)への展開状況が紹介されました。次に、㈱豊田中央研究所の藤川様から、車載光デバイス応用を目指したナノホールアレイによる光フィルターの紹介がありました。電磁波とプラズモンの相互作用により、カットオフ周波数よりも長い特定の波長の光だけが金属ナノホールを透過することができる原理を利用したものです。また、この技術をさらに発展させたビーム走査素子の実証結果にも触れました。次に、東京工業大学の西川先生より、シリコンフォトニクスにおける伝搬損失と導波路側壁のラフネスの関係とラフネスを低減するための様々なプロセスが紹介されました。このセッションの最後は情報通信研究機構の井上様の講演で、電気光学係数が大きく、超高速応答が期待できる有機EO(Electro-Optic)ポリマーの優れた機能をシリコンフォトニクスと融合させることで、超小型でありながら従来デバイスを凌駕する変調効率を実現した最新の光変調器の紹介が行われました。屈折率が低いため、光閉じ込めに不利な有機材料を1次元シリコンフォトニック結晶導波路と組み合わせることで解決し、光の効率的な閉じ込めに成功した結果です。
 午後の後半は各実施機関から、ナノフォトニクス関連、あるいは新規に導入されたEB装置の事例紹介が行われました。微細加工プラットフォームが保有する加工設備を使ってどのようなナノフォトニクス応用の研究・開発のサポートが期待できるかを、受講者の皆様に理解していただけたことと思います。
 前回セミナーでも好評であった、各実施機関のそれぞれの経験や特長に合わせて準備する無料/有料の実習コース(6月~7月)を今回も提供しました。合わせて24名の応募があり、一部の実施機関では受け入れ人数を増やして対応しました。

セミナー風景1

セミナー風景1

nanophotonics&EB seminar report2

セミナー風景2