浜松ホトニクス(株)が東北大学の支援を受けMEMS回折格子を開発、同デバイスを用いた「量子カスケードレーザ」を製品化

 浜松ホトニクス株式会社は、東北大学微細加工プラットフォーム実施機関の支援を受けてMEMS回折格子を試作開発し、その後、自社で完成させたMEMS回折格子を搭載した小型量子カスケードレーザモジュール「波長掃引パルス量子カスケードレーザLI4890-09」を新たに製品開発しました。

 今回、東北大学実施機関で試作開発されたMEMS回折格子は、SOIウエハを用いた電磁駆動型MEMSグレーティングで、5㎜φの大面積で高速かつ大きな機械傾斜角が得られるため、広帯域における波長掃引を実現しました。
 東北大学では、微細加工プロセスの検討段階から協力して開発を進めたもので、グレーティング部分、コイル部分など難易度の高い微細加工の問題を克服しながら、約2年間という短期間で製品化に至りました。

 開発されたレーザモジュールは、持ち運び可能なサイズの分析機器に組み込むことにより、作業現場で瞬時にフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)と同等の分析ができ、農産物の糖度測定や血中グルコース測定、プラスチックやフィルムの分析、プラントなどの構造物に用いられているゴムなどの劣化検査といった用途として、各種分析機器メーカーに向け12月3日から販売が開始されます。
 またこの製品は、一般社団法人日本光学会 光設計研究グループが実施する光設計賞において「光設計優秀賞」を受賞されました。

   <参考URL>
   浜松ホトニクス株式会社プレスリリース
   https://www.hamamatsu.com/jp/ja/news/product_technology/2018/20181025000000.html