「出来ないとは言わず、出来るようにするにはどうしたらよいか」と考える
東北大学 辺見政浩さん インタビュー 2014/9/9(火)

東北大学マイクロシステム融合研究開発センター辺見 政浩さん

東北大学
マイクロシステム融合研究開発センター
辺見 政浩さん

(Q1)この仕事につくようになったキッカケ、経緯などをおしえてください。

宮城県工業高等学校を卒業後、西澤先生の半導体研究所にお世話になり、1984年から2008年まで在籍しました。その時の業務は、GaAsのプロセス技術で、MLE(Molecular Layer Epitaxy)をやっていました。半導体研究所の解散に伴い一時期会社勤務後、2010年よりFIRSTプログラムを経て、ナノテクノロジープラットフォームに参加しました。

(Q2)担当している仕事について、教えてください。面白かったことや困ったことのエピソードでも結構です。

MEMS、半導体デバイス分野で、主に担当している装置は、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、接合、スパッタ成膜を担当しています。
印象に残っている支援事例としては、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業の平成25年度成果報告会で、「秀でた利用6大成果」最優秀賞を受賞しましたリオン社のMEMS技術を用いたコンデンサマイクロホンの作製で、微力ながらお役に立てて光栄に思います。
また、技術者の方には自分で操作できるようにするだけではなく、どんな装置なのかをよく理解してもらっています。

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MEMSの体験実習で、
フォトマスクを持っている辺見さん

(Q3)この仕事についてよかったこと、大事にしていることなどがあったら、教えてください。

・私自身が大事に思っていることは、いつも安全には最大限の注意を払っています。負傷したら何にもなりません。たとえば、薬品を扱う際、混合する手順を誤ると沸騰したりして、薬品が飛散することがあります。慣れてきたときに事故は起きやすいので、薬品を取り扱う際は、薬品の危険性を理解してもらう事と、保護具の着用の徹底をお願いしています。

・また、西澤先生に教えていただいたことは、「自分で出来ることは、自分でやれ」ということを今でも行動の指針として実行しています。たとえば、この施設では、年季の入った装置も多いのでメンテナンスは大事です。性能を維持できるように、診断し、部品の交換は沢山ある他の装置からの使いまわしや、簡単なものは部品を自分で作ったりして、カスタマイズして使う事もあります。古い装置の方が自分で手が入れられるので、その意味で使い勝手が良いと思います。

・利用者の要望は千差万別で難しい案件でも「すぐに出来ないとは言わず、出来るようにするにはどうしたらよいか」と考えます。もちろん、装置の都合などでできないことがあります。その場合、なぜできないのかを説明しています。そういった数々の案件に対応するには自分自身の技術向上が必要です。

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マイクロシステム融合研究開発センターの
スタッフ全員

・支援していて楽しいし、もともと自分で手を動かすモノ作りは好きです。また、学生から失敗した、どうして失敗したのだろうと相談を受けた時、受け売りですが「失敗ではなく、この方法ではできないという結果が得られた」いう事ですと話しています。また自分の過去の失敗例など、こうやったから失敗したという事を伝え、それを生かして上手くいってくれると嬉しく思います。

・各機関の技術の交流は大切と思います。一年ほど前からメーリングリストが出来、自前で出来ない場合、他の機関に問い合わせれば解決することもあります。今年の2月に他の実施機関である早稲田大学で、5日間研修に行ってメッキ技術の事を学んできました。また、それのみならず他の機関の支援員と交流することが出来ました。これはナノテクノロジープラットフォームの良いところだと思います。

辺見さんは、西澤先生のところで、実験・仕事の心構えを学ばれて、その経験が今の業務にも生かされていました。今後、益々のご活躍が期待されます。