支援業務を通じて成長を実感しています
大阪大学 柏倉美紀さん インタビュー 2014/6/19(木)

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大阪大学
ナノテクノロジー設備供用拠点
特任研究員 柏倉美紀さん

Q 本日はお忙しいところインタビューに応じていただきありがとうございます。最初に柏倉さんのご経歴を簡単にご紹介していただけないでしょうか。

・私が大阪大学の共用施設事業に赴任したのは2009年9月からで、ナノテクノロジーネットワーク事業の3年目から携わり現在に至っています。

Q 通算5年弱になるのですね。柏倉さんのこれまでのご専門は何でしたか。

・私は大学で化学を専攻しました。具体的には錯体合成に携わりました。卒業後、油脂メーカーの分析部に勤務して、自社製品の油脂の成分や粘度などの分析をやっていました。分析をしている内に研究のほうに関心が移り、研究支援の仕事に関わりたいと思い、大阪大学へ転職しました。

Q 技術支援のお仕事の様子を聞かせてください。

・私の場合、利用相談は平均して週一回ほどあります。ナノネット時代はまだ経験が浅かったのであまり利用相談を担当していませんでしたが、プラットフォーム事業になってからは、法澤先生と同席して 利用相談に応じています。

・現場の技術支援業務では、法澤先生、近田さん、私の3名が担当しています。勤務時間は8.30から17:15までで共用施設のオープン時間は9時から17時ですが、ユーザー様が定時後まで残っていることもあるので、その時は残業することもあります。

・普段の一日は、装置のインストラクション(操作指導)、技術代行、新規導入装置のマニュアル作成などをやっています。技術代行は常時2件担当しています。必要に応じて装置メンテナンスを行っています。

Q 担当されている実験室の規模、装置を教えてください。

・大阪大学実施機関が共用に登録している装置は16台です。共用設備が設置されている実験室の面積は460m2ですが、分子・物質合成ブラットフォームと共用していますので、クリーンルームのオープン/クローズは分子・物質合成ブラットフォームの技術支援員と分担しています。

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両袖の濃い色のクリーンウエアを着ているのが柏倉さんです

・私がメンテナンスを担当している装置は1台で、電子ビーム露光装置(JSM6500F with Beam Draw)です。レクチャーを担当している装置は10台あります。

・技術支援員が少ないのでユーザーへのレクチャー対応の日程が重ならないように調整するのが大変です。

Q クリーンルーム内での様子を教えてください。

・毎日10数名の方が利用にいらっしゃいます。多くは機器利用の方ですが、機器利用しているユーザー様からよく質問が来ます。特に学生さんからはよく質問されます。

Q学生さんから頼りにされる存在なのですね。技術支援業務で気をつけているところ、やりがいを感じるところを教えてください。

・ユーザー様の最終目標を念頭に置いてアドバイスし、プロセスを考えるようにしています。

・ユーザー様はそれぞれ異なった研究をされていますので、その分野の話を聞けるのはとても勉強になります。1つの装置でも使い方は多様であることを、支援をしながら感じられるのが面白いと思います。

・主にフォトリソグラフィと電子ビームリソグラフィを担当しているのですが、目的に合ったレジストの選択・CADソフトでのパターン設計・重ね描画等を習得しました。ユーザー様からアドバイスを求められて答えられた時にスキルが高まったと感じます。

打ち合わせの様子

打ち合わせの様子

・今までやったことのない依頼が来ると課題を達成できるか不安になるときもあります。しかし、経験したことのない課題に取組んで試行錯誤し最終的に課題を達成してユーザー様から感謝の言葉をいただけたときはやりがいを感じます。

Q共用施設業務の運営について何かご意見があればお聞かせください。

・プロセスの公開を進めていきたいと思っています。具体的にはユーザーの皆様と一緒に開発した技術やノウハウを大阪大学実施機関に蓄積し技術支援の質を向上させたいと思っています。

・微細加工プラットフォームが主催する技術者研修で学べることにも期待しています。

Q 柏倉さんの今後の抱負をお聞かせください。

・電子ビームリソグラフィについて更に勉強して装置を使いこなせるようになりたいです。また、微細加工プラットフォームをまだ使用したことのない方にも具体的なイメージができるような装置ごとの出来上がりサンプルを作製して、新規ユーザーの皆様の利用につなげたいと思っています。

柏倉さんはフォトリソグラフィと電子ビームリソグラフィを得意技術としてさらに意欲的にスキルアップを目指している若手の技術支援者です。今後も益々のご活躍を祈念しております。本日はどうもありがとうございました。